2001年度夏学期「国際取引とタックス・プランニング」演習概略

柏木昇教授および李昌煕客員教授と合同

 

(教材)OECD, Model Income Tax Convention on Income and on Capital (looseleaf)。コピーを配付する。

(内容)企業行動が税引後利益の最大化を目的としているものとすれば、どのように取引を構築すれば税引後利益を最大化できるかは、企業にとってきわめて重要な関心事である。とりわけ、国際取引については、課税ルールをふまえた十分な計画なしに取引を組み立てると、あとで大怪我をすることが多い。この演習では、国際取引について、タックス・プランニングの角度からまとまった検討を加える。

(進め方)表記教材は、国際課税の基本文献であり、国際的なタックス・プランニングを理解するためにどうしても知っておかなければならないもののひとつである。参加者は担当部分を読んで報告し、議論をふまえレポートを書く。

(特記事項)ソウル大学から客員教授としてお迎えする李教授は、租税法の研究者として名高く、国際取引にも広く通じておられる。演習は英語で行い、必要に応じて柏木または増井が日本語で補う。期末に提出するレポートは、日本語で執筆してもよい。

(進行予定)
4月24日 導入

5月 1日 Introduction
      Article 1 (Persons covered)
〔参考〕竹内洋「我が国の租税条約締結ポリシー」水野忠恒編『改訂版国際課税の理論と課題』19頁(1999年)

5月 8日 Article 2 (Taxes covered)
      Article 3 (General definitions)
           Article 4 (Resident)
〔参考〕谷口勢津夫『租税条約論』第1章(1999年)

5月15日 Article 7 (Business profits)
〔参考〕水野忠恒『国際課税の制度と理論』第1章(2000年)

5月22日 Article 5 (Permanent establishment)
〔参考〕占部裕典「租税条約における『恒久的施設』概念の機能と限界」総合税制研究1号21頁(1992年)

5月29日 Article 9 (Associated enterprise)
      Article 10 (Dividends)
〔参考〕中里実「外国法人・非居住者に対する所得課税」日税研論集33号139頁(1995年)

6月5日  Article 11 (Interest)
〔参考〕村井正・岩田一政『EU通貨統合と税制・資本市場への影響』188頁(2000年)

6月12日 Article 12 (Royalties)
      Article 13 (Capital gains)
〔参考〕中里実『国際取引と課税』第U編(1994年)

6月19日 Article 15 (Income from employment)
      Article 16 (Directors' fees)
           Article 17 (Artists and sportsmen)
      Article 18 (Pensions)
〔参考〕宮本十至子「人の国際的移動(Labour mobility)に伴う企業年金掛金の課税問題」第22回日税研論集入選論文集41頁(1999年)

6月26日 Article 6 (Income from immovable property)
      Article 21 (Other income)
      Article 22 (Capital)
〔参考〕佐藤英明「相続税と国際的二重課税」日税研論集33号271頁(1995年)

7月 3日 Articles 23A and 23B (Elimination of double taxation)
〔参考〕水野忠恒『国際課税の制度と理論』第2章第1節(2000年)

7月10日 Article 24 (Non-discrimination)
〔参考〕占部裕典「海外取引にかかる優遇税制の問題点」水野忠恒編『改定版国際課税の理論と課題』177頁(1999年)

7月17日 Article 25 (Mutual agreement procedure)
      Article 26 (Exchange of information)
〔参考〕金子宏「相互協議(権限のある当局間の協議および合意)と国内的調整措置――移転価格税制に即しつつ」『所得課税の法と政策』390頁(1996年)
〔参考〕青山慶二「国際的税務協力の現状と課題」水野忠恒編『改訂版国際課税の理論と課題』203頁(1999年)

 

(日本語の参考書)

日本の租税条約については、納税協会連合会の発行した『平成12年度版租税条約関係法規集』(2000年)が便利である

占部裕典『国際的企業課税法の研究』(1998年)
小沢進・矢内一好『租税条約のすべて』(2000年)
金子宏編『国際課税の理論と実務』(1997年)
川田剛『国際課税の基礎知識〔5訂版〕』(2000年)
北川俊光・柏木昇『国際取引法』(1999年)
木村弘之亮『国際税法』(2000年)
小松芳明『国際租税法講義〔増補版〕』(1998年)
小松芳明『租税条約の研究〔新版〕』(1982年)
小松芳明『逐条研究日米租税条約〔第3版〕』(1997年)
谷口勢津夫『租税条約論――租税条約の解釈及び適用と国内法』(1999年)
中里実『国際取引と課税――課税権の配分と国際的租税回避』(1994年)
中里実「国際租税法上の諸問題」総合研究開発機構編『多国籍企業の法と政策』89頁(1986年)
中田謙司『租税条約の読み方――国際税務の基礎知識』(1993年)
本庄資『租税条約』(2000年)
本庄資『アメリカの租税条約』(1997年)
水野忠恒『国際課税の制度と理論』(2000年)
水野忠恒編『改訂版国際課税の理論と課題』(1999年)
宮武敏夫『国際租税法』(1993年)
村井正編『国際租税法の研究』(1990年)
矢内一好『租税条約の論点』(1997年)
矢内一好『国際課税と租税条約』(1992年)