2002年度夏学期「組織形態の多様化と所得課税」月曜5限

 
(教材)
坂林孝郎訳ショールズ他著『MBA税務工学入門』(中央経済社、2001年)
佐藤英明『信託と課税』(弘文堂、2000年)
占部裕典『信託課税法――その課題と展望』(信山社、2001年)
その他若干の書物と論文(欧文のものを含む)

(内容)

組織形態の多様化に所得課税がどう対応すべきかを検討します。
分析枠組の習得と開発を主眼とするものであり、受講者として念頭においているのは、租税法の本格的な研究を目指す方です。しかし、会社、信託、パートナーシップ、協同組合、中間法人、LLC、SPC,NPOといった多様な組織そのものに関心をもつ方にとっても、組織と課税の深いかかわりについて思いをめぐらす機会となるでしょう。

(進め方)

第1回に相談します。基本的には、既存文献を批判的に精読することからはじめたいと考えています。まずは、さまざまな組織に対する異なる課税ルールが投資家のリターンにいかなる影響を及ぼすかを理解することが大切でしょう。それから、会社以外のいくつかの組織についての研究状況を知ることも、不可欠です。教材は、このような観点から選択します。こういった作業を行いつつ、演習の半ばまでに参加者各自が具体的なテーマを設定し、小論文を執筆します。
 
 
(参考文献等)
そもそも何が問題かを知りたい方は、中里実『金融取引と課税』386頁(1998年)、佐藤英明「法人課税をめぐる問題状況」国際税制研究6号108頁(2001年)、増井良啓「連結納税制度をめぐる若干の論点(1)」税研91号93頁(2000年)をご覧ください。なお、2000年度に非営利組織を素材として、同様のゼミを開講しました。そのときの参考文献等をアップしてあります。