租税法
【概要】みなさんは、日本の財政赤字が巨大なのに増税には抵抗があることを知っているでしょう。また、就職や結婚、住宅取得や相続といった人生の節目で税金が関係することや、企業の経済活動にとって租税上の考慮が不可欠であることも、聞いたことがあるでしょう。しかし、税制について何となく知っていたり聞いていたりしたことがあっても、現行課税ルールがどのような論理でできているか、あるいは、契約をかわしたり事業を行ったりするさいに租税がどのように意思決定に影響するか、自分の言葉できちんと説明できますか。この授業では、租税制度の法的構造を体系的に分析します。それによって、今後の税制改革のあり方や私的取引との交錯について、自分の頭で考えるための力を養います。

【進め方】双方向の質疑応答をおりまぜつつ講義を行います。「租税裁定」とか「所得の概念」とかいったコンセプトは、いちど話を聞いただけではなかなか身につきません。そこで、「学ぶ→練習する→テストする」というサイクルで着実に身につけることができるよう工夫します。イメージとしては、全体を5部に分けて、それぞれの部につき4回進んだら1回復習回を設ける、といった感じです。また、臨場感をもっていただくために、司法や行政など各界の最前線で活躍しているゲストをお呼びして、皆さんと親しく交流できるような回を盛り込みます(渕圭吾教授、平川雄士弁護士、田中雅敏氏にお越しいただきました)。
1序論
2所得課税
3資産課税
4消費課税
5現代的課題
【メッセージ】租税法は総合科目です。私法との交錯を中心とする法律家的な問題もあります。政治学・経済学的な思考が活躍する政策論的な側面もあります。国家と市場の関係を巨視的に捉える公法学・基礎法学的な広がりもあります。どの登山口から登っても、租税法の複合的なおもしろさに触れることができます。この授業ではできるだけ幅広く、山のふもとからすばらしい山容を楽しく鑑賞するような時間を、皆さんと共有したいと考えています。