2009年度夏学期法科大学院演習(租税法)「会社の課税」
担当 増井良啓

演習の目的・ねらい・進め方
(目的)「租税法」を履修した人を主な対象として、基礎知識を定着しつつ、一歩先の議論を楽しむための演習。
(ねらい)株式会社のライフサイクルにおいて会社と株主に生ずる所得課税上の論点を検討します。
(進め方)具体的な進め方は開始時に相談しますが、基本的には指定文献の該当箇所を会読する予定です。

授業の構成
次の項目を順次みていきます。
T 出資
U 分配
V 清算課税(倒産法との関係を含む)
W 組織再編成
X 租税属性の引継
Y 会社グループ税制

教材等 岡村忠生『法人税法講義(第3版)』(成文堂・2007年)など。必要な法令や通達の入手方法について、開講時に指示します。

★特記事項 参加を考える方は、次の「課題」に対する応答をA4の用紙1枚に記し、参加申込用紙に添付して大学院係に提出してください。
課題:金子宏ほか『ケースブック租税法(第2版)』§163.04の全体を精読したうえで、引用判決に対する上告受理申立書の執筆を依頼された代理人の立場にたって、その骨子を簡潔にまとめよ。

日程

前半

後半

4/14

開講(増井)

申込用の課題(全員)

4/21

導入(増井)

出資1・教材316-340(全員)

4/28

信用・労務の出資に係る課税上の取扱いについて(安倍)

出資2・教材341-364(全員)

メモ1「ネコでもわかる出資の課税」

5/12

部分貸倒れの損金算入(池末)

分配1・教材365-382(全員)

メモ2「問題137―利益積立金が負値になる」

5/19

みなし配当課税の合理性について(柘植)

分配2・教材382-395(全員)

5/26

みなし配当課税の改革―138番の問題から―(寺田)

清算課税・教材396-403と追加判例(全員)

6/2

小山論文のいくつかの提案について検証(成瀬)

問題153と158(全員)

Robert Clark, Morphogenesis of Subchapter C, 87 Yale Law Journal 90 (1977-1978)

メモ3「キミの配当はストレート?それともみなし?―問題153―」

6/9

「合併無効判決と租税法」再考―大阪高判平成14年12月16日判タ1098号140頁を素材に―(羽深)

組織再編成1・教材404-419(全員)

Alvin Warren, The Business Enterprise Income Tax: A First Appraisal, Tax Notes, Feb.25, 2008

6/16

適格合併における課税繰延の理論的根拠(原)

問題162と165(全員)

法人税法61条の2および62条のDHCコンメンタール図表

6/23

適格組織再編の「支配」要件の意義(近内)

適格要件の適格性(邊見)

組織再編成2・教材419-433(全員)

Business in Japan: No Exit, The Economist, June 20, 2009

6/30

「みなし配当」から考える「配当とキャピタルゲインの二重課税」(矢野)

問題171と172(全員)

GCOE:「経済犯罪の国際的規制―国際法学からの一考察」(山内)

7/7

デット・エクィティ・スワップ(DES)の課税(渡邉)

減価償却資産の帰属―リース税制を素材として(田中)

企業買収・教材482-490・問題180(全員)

メモ4「子が親を呑む!?―問題162―」

7/14

有利発行の課税関係についての基礎的考察〜学説の混沌を越えて〜(行岡)

タックスシールドの問題点の検証(二木)

中国における企業所得税制改革(銭)

終講(増井)

GCOE:「信託とPE」(矢向弁護士)