2007年度夏学期法学部「租税法」

担当:増井良啓 7学期 4単位

 

この講義の学習目標・構成・進め方

【学習目標】みなさんは、国や地方公共団体が活動するために租税が必要であることを知っているでしょう。また、これまで民法や商法で学んできたいろいろな取引が、実務の世界では租税の考慮に大きく動かされていると聞いたことがあるでしょう。しかし、税制について何となく知っていたり聞いていたりしたことがあっても、現行課税ルールがどのような論理でできているか、あるいは、契約をかわしたり事業を行ったりするさいに租税がどのように意思決定に影響するか、自分の言葉できちんと説明できますか。この授業では、租税制度の法的構造を体系的に分析します。それによって、今後の税制改革のあり方や私的取引との交錯について、自分の頭で考えるための力を養います。

【構成】次の3部構成で、例年よりも国際課税の比重を大きくする予定です。

T序論:租税法という分野の歴史的・憲法的基礎を講じます。

U国税のシステム:所得税・法人税・相続税・消費税といった主要税目について、課税ルールの骨格を分析します。

Vシステム間関係:地方税と国際課税を扱います。

【進め方】双方向の議論をおりまぜつつ講義を行います。とりあげる素材は基本的なものにしぼります。多くの細目をつめこむことよりは、基本問題をじっくり考え、応用可能性をもつ《租税の論理(tax logic)》を習得することこそが大切だからです。定期試験では、税金の計算方法を丸暗記することを求めるのではもちろんなく、基本的な考え方がどこまで習得できているかを問います。

 

主要文献

教室に持参すべき教材の入手方法については、開講時に説明します。

金子宏『租税法第12版』(2007年・弘文堂)

佐藤英明『プレップ租税法』(2006年・弘文堂)

渡辺智之『税務戦略入門』(2005年・東洋経済新報社)

税制調査会「個人所得課税に関する論点整理」(2005年6月)

シャウプ勧告(1949年―1950年)