題名 税制と配分的正義(5)
教材 Bruce Ackerman and Anne Alstott, THE STAKEHOLDER SOCIETY (Yale University Press 1999)
内容
「税制は公平であるべきだ」と多くの人が主張します。しかし、その内容について広くかつ深く議論できる人は多くありません。20世紀末に米国で出版されたこの本は、成人年齢に達したすべての若者に8万ド
ルのグラントを与え、その財源を富裕層に対する2%の財産税でまかなうことを提案するものです。そこで、これを会読し、機会の平等とはどういうことを意味するかを考え、私たちの社会における望ましい富の分配を実現するために税制の果たすべき役割を参加者の皆さんと議論したいと思います。
進め方
参加者の顔ぶれをみてご相談しますが、いまのところ、毎回約20頁のペースで読み進めることを考えています。担当者には入念な準備が必要です。また、参加者相互で議論することに主眼があるので、担当者以
外の人も、毎回の予習と積極的な発言が不可欠です。議論をふまえ、学期末までに各人が任意の角度からレポートを書きます。
主要文献等
大竹文雄・日本の不平等(日本経済新聞社2005)
北岡伸一他編・年金改革の政治経済学(東洋経済新報社2005)
Michael J. Graetz and Ian Shapiro, DEATH BY A THOUSAND CUTS: THE FIGHT
OVER TAXING INHERITED WEALTH (
税制調査会基礎問題小委員会・わが国経済社会の構造変化の「実像」について(2004)
青木昌彦他編著・日本の財政改革(東洋経済新報社2004)
樋口美雄他編著・日本の所得格差と社会階層(日本評論社2003)
Anthony
Giddens, THE THIRD WAY AND ITS CRITICS (Polity Press 2000)
森村進・財産権の理論(弘文堂1995)
日本法哲学会編・現代所有論(有斐閣1991)
Bruce
A. Ackerman, SOCIAL JUSTICE IN THE
受講を考えている人のためのFAQ
Q 租税法や財政学の履修は、履修の必修要件です
か?
A 特に前提としません。しかし、理解を深めるためには、演習と並行して追加的に多くの参考文献を読むことが必要になります。その意味で、強い意欲のある 方の参加を歓迎します。
Q 学部と大学院の合併のようですが、参加者数の比
率はどうなりますか?
A 今回の演習は学部生が主体となる見込みです。大学院(総合法政)からは希望に応じ若干名の履修を認めます。
Q 選考基準はどういうものですか?
A 参加申込書の参加志望理由欄に具体的な問題意識と取り組みたい課題が明確に書けているかどうかによります。
Q どうして題名に「(5)」と書いてあるのです
か?
A 同じタイトルで継続して演習を開いてきたからで す。過去の記録として、2003 夏(4)、2000 夏駒場、1996冬(3) /1995冬(2)、1994夏が あります。